俺の嫁
ここはT都N区の某アパートの一室。
この部屋には、現在人が誰も住んではいないが、テーブルの上には一台のノートパソコンが置かれている。
このノートパソコンは入居者なら誰でも使ってもいい物とされているが、不思議なことに、
このノートパソコンに触れた者は、入居してから数ヶ月たつと謎の失踪を遂げているという。
――ここか。
俺の目の前には、建てられたばかりに見える綺麗なアパートが建っていた。
外装は白で、清潔感たっぷりである。
今日から俺は、このアパートの一室で生活することになるのだ。
俺は大きく深呼吸をすると、アパートの階段をズカズカと上っていった。
ちょうど俺が住むことになるのは、201 号室。
階段上ったところのちょうど左にあるところだ。
部屋に入ると、目の前にはテーブルがあり、その上には、最新型と思われるノートパソコンが置かれている。
そしてそのノートパソコンの上には、紙が置いてあり以下のようなことが書かれていた。
入居者特典サービス!!
この最新式ノートパソコンは、自由に使っていただいて構いません!!
もちろんインターネットも使い放題です!!
ただし一点だけ注意事項があります!!
このノートパソコンの使いすぎにご注意ください!!
…………?
最初と最後の文が矛盾している気がする。
まあ、使用なんかどうせ管理人にばれるはずもないので、使いまくることにするが。
そんなわけで、荷物整理とかは後回しにして、ノートパソコンの電源を入れる。
どうやら OS も最新もののようだ。
起動も早くスイスイと立ち上がってしまった。
NanoSoft のテクノロジーは世界一か!!!!!
などと少し感動しながら、軽くネットサーフィンを楽しみ、手持ちの音楽 CD をノートパソコンに挿入し音楽を流す。
その音楽を聴きながら俺は、荷物整理を開始した。
――荷物整理がそれなりに終わり時間を見ると、時計の針は 22 時を指していた。
もうこんなに時間か……。
俺は、ノートパソコンの電源を落とすと同時に、整理の疲れからか眠りに落ちていった。
……。
それから俺は、友達と遊ぶ日以外毎日このノート PC を立ち上げ、画像掲示板の巡回や某大手巨大掲示板を見るなどして楽しんだ。
気付けば、このノートパソコンの画像フォルダには、相当の数の画像ファイルが格納されていた。
まぁ、色々な画像サイトを巡って保存したわけなんだが……。
そんなある日、いつものようにノートパソコンをつけようとしたら、電源が入らなくなっていた。
普通ならここで修理に出すべきなのだろうが、中のデータが消えるのは相当な痛手なので、修理にはなかなか踏み切れずにいた。
中には画像だけではなく、大学のレポートや、資料なども大量に入っていた。
そこで俺は、PCのハードに詳しい知人を呼んで見てもらおうと思い電話をかけたが、何故か電話に出ない。
しょうがないのでメールを送ると、1時間位たってからメールの返事が返ってきた。
返事には、
"ごめん。さっき事故にあっちまって、当分退院できそうにないんだ"
と書かれていた。
入院してしまってはしょうがない。
しょうがなく俺はほかの知人や友人に当たってみたが、皆が皆、何らかの事情で見に来ることができないらしい。
……現実にこんなにも間が悪いことなんてあるのだろうか……。
この日はもう何もする気が起きなかったのでさっさと床に就いた。
――この日の夜……俺は変な夢を見た。
それはノートパソコンのディスプレイから俺が好みな 2 次元少女達が出てくる夢。
普段の俺からすれば天国みたいな夢のはずなのだが、見た夢から、そんな感じは全くしなかったのである。
どちらかといえば、一種のホラー映画のような光景に近いものがあった。
うまく言葉には出来ないのだが、とても恐ろしかったという一点だけは鮮明に覚えている……。
こんな夢を見る時点で俺ももう終わりだな……。
と軽く苦笑いをしつつ、家を出る準備をし、駆け足で大学に向かった。
大学に着くと、大学のサークル仲間が俺に声を掛けてきた。
「お前の部屋って確か元からノートパソコンあったんだったよな」
突然何を言い出すかと思ったが、素直に俺は返した。
「ああ、あったよ。それがどうしたんだ?」
そう返事をした瞬間。彼の表情は曇った。
「そのノートパソコン……。あんまり使わないほうがいいと思うぞ」
?? なぜだろうと思いつつも、俺は事情を話した。
「使わないほうがいいも何も、昨日からまったく電源が入らないんだよ」
彼は黙り込んでしまい、少し間が空いたあと無言でその場から立ち去ってしまった。
……変なヤツだ。
この日は、本来ならば 4 時限目まで講義があるはずなのだが、先生が高熱で倒れたとのことなので、俺はさっさと帰宅することにした。
部屋に帰ると、やはりノートパソコンの電源は付くことはなく、この日は早々に寝てしまった。
我ながらなんと言うダメ人間であろうか。
……。
…………。
目を開けると目の前にはたくさんの少女達。
多くの少女達は俺に懐くかのように寄ってくる。
しかし、その少女達の目からは生気が伝わってこない。
そうまるで、ロボットのように、俺に懐け!!と命令されたかのごとく寄ってくるのだ。
何一つ言葉を発しない少女。でもその体は人間と同じように体温があり、確かに温もりもある。
本来ならばうれしいはずのシチュレーションのはずなのだが、今の俺の感情は恐怖以外の何者でもなく、ただただ彼女たちに弄ばれているような感じであった。
……。
…………。
気付くと、なんら変わらない部屋で俺は横になっていた。
どうやら先程のアレは夢だったらしい。
時計を見ると深夜の 3 時。
朝まで少なくとも後 3 時間は寝れるわけなのだが、あまりにも夢の内容が強烈過ぎたせいか、その日は眠ることが出来なかった。
眠気が残ったまま大学に向かうと、サークル仲間が俺に気付きこっちを振り向いた。
俺もそのことに気付き挨拶をしようとした次の瞬間。
――彼の表情は曇り俺の前から立ち去ってしまった。
そんなに俺の今の顔が酷いのだろうか。
この日は何故か、周りが俺に近づいてくることは全くなかった。
昨日の行動を思い返してみても心当たりがまったくないから困る。
家に帰ると同時、突然睡魔に襲われ俺はそのまま眠りに落ちた。
……。
…………。
目を開けると目の前にはたくさんの少女……。
正直見慣れているだけにまたこの夢か……。
といった感じである。
同じ夢を何回も見ているせいか、大分耐性が付き、前のような強烈な恐怖に襲われることはなくなっていた。
……。
…………。
夢から覚めると、俺は、先程のが本当に夢だったのかという恐怖に駆られた。
それは、俺が横たわっていたところに、見慣れない金髪の髪の毛や、服には女性の髪と思われる長い髪の毛が付着していたからだ。
生まれつき女運が全くといっていい程ない俺の部屋に、女性の髪の毛が落ちてるなんてことは普通に考えてありえないのだ。
そして、ふとノートパソコンのほうに目をやると、バッテリもコンセントも外してあるはずなのにも関わらず電源が付いていた。
そして、その画面に映し出されていたのは、俺が少女と戯れている画像……。
そう、夢のなかの光景の画像だった。
夢の中では気付かなかったのだが、夢に出てきた少女達は、俺が画像フォルダに保存した少女達に非常に酷似していたのである。
いや、酷似という表現は正しくはない、正確には俺の嫁フォルダに保存した少女達である。無論二次元だ。
では、ノートパソコンの画面に映されている俺は――
――――!!
「ば、ばかな」
俺は思いっきり声を上げてしまった。
ノートパソコンに写っている俺は、見事に二次元調にデフォルメされていたのだ。
ありえないありえないありえないありえない……。
そんなことなんてありえない。
あってたまるものか……。
「うわああああああああぁぁぁぁぁ」
わけがわからなくなった俺は、自分しかいない部屋で大声で叫んだ。
そして叫び終わったと同時に俺は肩を叩かれた。
振り向くとそこには――
…………。
誰もいない部屋。
でもそこにはいつも最新型のノートパソコンが置かれている。
そのノートパソコンは、この部屋の入居者なら使い放題。
でも、そのノートパソコンには、ただひとつの注意書きがある。
それは――
使いすぎに注意!
それだけである。
この部屋には、現在人が誰も住んではいないが、テーブルの上には一台のノートパソコンが置かれている。
このノートパソコンは入居者なら誰でも使ってもいい物とされているが、不思議なことに、
このノートパソコンに触れた者は、入居してから数ヶ月たつと謎の失踪を遂げているという。
――ここか。
俺の目の前には、建てられたばかりに見える綺麗なアパートが建っていた。
外装は白で、清潔感たっぷりである。
今日から俺は、このアパートの一室で生活することになるのだ。
俺は大きく深呼吸をすると、アパートの階段をズカズカと上っていった。
ちょうど俺が住むことになるのは、201 号室。
階段上ったところのちょうど左にあるところだ。
部屋に入ると、目の前にはテーブルがあり、その上には、最新型と思われるノートパソコンが置かれている。
そしてそのノートパソコンの上には、紙が置いてあり以下のようなことが書かれていた。
入居者特典サービス!!
この最新式ノートパソコンは、自由に使っていただいて構いません!!
もちろんインターネットも使い放題です!!
ただし一点だけ注意事項があります!!
このノートパソコンの使いすぎにご注意ください!!
…………?
最初と最後の文が矛盾している気がする。
まあ、使用なんかどうせ管理人にばれるはずもないので、使いまくることにするが。
そんなわけで、荷物整理とかは後回しにして、ノートパソコンの電源を入れる。
どうやら OS も最新もののようだ。
起動も早くスイスイと立ち上がってしまった。
NanoSoft のテクノロジーは世界一か!!!!!
などと少し感動しながら、軽くネットサーフィンを楽しみ、手持ちの音楽 CD をノートパソコンに挿入し音楽を流す。
その音楽を聴きながら俺は、荷物整理を開始した。
――荷物整理がそれなりに終わり時間を見ると、時計の針は 22 時を指していた。
もうこんなに時間か……。
俺は、ノートパソコンの電源を落とすと同時に、整理の疲れからか眠りに落ちていった。
……。
それから俺は、友達と遊ぶ日以外毎日このノート PC を立ち上げ、画像掲示板の巡回や某大手巨大掲示板を見るなどして楽しんだ。
気付けば、このノートパソコンの画像フォルダには、相当の数の画像ファイルが格納されていた。
まぁ、色々な画像サイトを巡って保存したわけなんだが……。
そんなある日、いつものようにノートパソコンをつけようとしたら、電源が入らなくなっていた。
普通ならここで修理に出すべきなのだろうが、中のデータが消えるのは相当な痛手なので、修理にはなかなか踏み切れずにいた。
中には画像だけではなく、大学のレポートや、資料なども大量に入っていた。
そこで俺は、PCのハードに詳しい知人を呼んで見てもらおうと思い電話をかけたが、何故か電話に出ない。
しょうがないのでメールを送ると、1時間位たってからメールの返事が返ってきた。
返事には、
"ごめん。さっき事故にあっちまって、当分退院できそうにないんだ"
と書かれていた。
入院してしまってはしょうがない。
しょうがなく俺はほかの知人や友人に当たってみたが、皆が皆、何らかの事情で見に来ることができないらしい。
……現実にこんなにも間が悪いことなんてあるのだろうか……。
この日はもう何もする気が起きなかったのでさっさと床に就いた。
――この日の夜……俺は変な夢を見た。
それはノートパソコンのディスプレイから俺が好みな 2 次元少女達が出てくる夢。
普段の俺からすれば天国みたいな夢のはずなのだが、見た夢から、そんな感じは全くしなかったのである。
どちらかといえば、一種のホラー映画のような光景に近いものがあった。
うまく言葉には出来ないのだが、とても恐ろしかったという一点だけは鮮明に覚えている……。
こんな夢を見る時点で俺ももう終わりだな……。
と軽く苦笑いをしつつ、家を出る準備をし、駆け足で大学に向かった。
大学に着くと、大学のサークル仲間が俺に声を掛けてきた。
「お前の部屋って確か元からノートパソコンあったんだったよな」
突然何を言い出すかと思ったが、素直に俺は返した。
「ああ、あったよ。それがどうしたんだ?」
そう返事をした瞬間。彼の表情は曇った。
「そのノートパソコン……。あんまり使わないほうがいいと思うぞ」
?? なぜだろうと思いつつも、俺は事情を話した。
「使わないほうがいいも何も、昨日からまったく電源が入らないんだよ」
彼は黙り込んでしまい、少し間が空いたあと無言でその場から立ち去ってしまった。
……変なヤツだ。
この日は、本来ならば 4 時限目まで講義があるはずなのだが、先生が高熱で倒れたとのことなので、俺はさっさと帰宅することにした。
部屋に帰ると、やはりノートパソコンの電源は付くことはなく、この日は早々に寝てしまった。
我ながらなんと言うダメ人間であろうか。
……。
…………。
目を開けると目の前にはたくさんの少女達。
多くの少女達は俺に懐くかのように寄ってくる。
しかし、その少女達の目からは生気が伝わってこない。
そうまるで、ロボットのように、俺に懐け!!と命令されたかのごとく寄ってくるのだ。
何一つ言葉を発しない少女。でもその体は人間と同じように体温があり、確かに温もりもある。
本来ならばうれしいはずのシチュレーションのはずなのだが、今の俺の感情は恐怖以外の何者でもなく、ただただ彼女たちに弄ばれているような感じであった。
……。
…………。
気付くと、なんら変わらない部屋で俺は横になっていた。
どうやら先程のアレは夢だったらしい。
時計を見ると深夜の 3 時。
朝まで少なくとも後 3 時間は寝れるわけなのだが、あまりにも夢の内容が強烈過ぎたせいか、その日は眠ることが出来なかった。
眠気が残ったまま大学に向かうと、サークル仲間が俺に気付きこっちを振り向いた。
俺もそのことに気付き挨拶をしようとした次の瞬間。
――彼の表情は曇り俺の前から立ち去ってしまった。
そんなに俺の今の顔が酷いのだろうか。
この日は何故か、周りが俺に近づいてくることは全くなかった。
昨日の行動を思い返してみても心当たりがまったくないから困る。
家に帰ると同時、突然睡魔に襲われ俺はそのまま眠りに落ちた。
……。
…………。
目を開けると目の前にはたくさんの少女……。
正直見慣れているだけにまたこの夢か……。
といった感じである。
同じ夢を何回も見ているせいか、大分耐性が付き、前のような強烈な恐怖に襲われることはなくなっていた。
……。
…………。
夢から覚めると、俺は、先程のが本当に夢だったのかという恐怖に駆られた。
それは、俺が横たわっていたところに、見慣れない金髪の髪の毛や、服には女性の髪と思われる長い髪の毛が付着していたからだ。
生まれつき女運が全くといっていい程ない俺の部屋に、女性の髪の毛が落ちてるなんてことは普通に考えてありえないのだ。
そして、ふとノートパソコンのほうに目をやると、バッテリもコンセントも外してあるはずなのにも関わらず電源が付いていた。
そして、その画面に映し出されていたのは、俺が少女と戯れている画像……。
そう、夢のなかの光景の画像だった。
夢の中では気付かなかったのだが、夢に出てきた少女達は、俺が画像フォルダに保存した少女達に非常に酷似していたのである。
いや、酷似という表現は正しくはない、正確には俺の嫁フォルダに保存した少女達である。無論二次元だ。
では、ノートパソコンの画面に映されている俺は――
――――!!
「ば、ばかな」
俺は思いっきり声を上げてしまった。
ノートパソコンに写っている俺は、見事に二次元調にデフォルメされていたのだ。
ありえないありえないありえないありえない……。
そんなことなんてありえない。
あってたまるものか……。
「うわああああああああぁぁぁぁぁ」
わけがわからなくなった俺は、自分しかいない部屋で大声で叫んだ。
そして叫び終わったと同時に俺は肩を叩かれた。
振り向くとそこには――
…………。
誰もいない部屋。
でもそこにはいつも最新型のノートパソコンが置かれている。
そのノートパソコンは、この部屋の入居者なら使い放題。
でも、そのノートパソコンには、ただひとつの注意書きがある。
それは――
使いすぎに注意!
それだけである。