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二次元少女物語
はぁ……。

今日も俺は会社から帰宅するといつもと同じように某動画サイトをみる。
今日も定期巡回のようなもので、好きな製作者さんの動画にコメをつける。
好きな製作者さんの動画にコメをつけたあと、今晩の夕食であるカップラーメンを食うためにお湯を沸かす。
その間に風呂を焚いたり着替えたりし、その後カップラーメンにお湯を注ぎまた某動画サイトを見る。
出来上がったカップラーメンを食いながら俺はふと思った。

「……画面から二次元の女の子が出てきたら俺の人生も変わるのにな……」

こんなことを思う俺は末期かもしれないが、まあこんなことになってしまったのはしょうがないかなとも思う。
そんな俺は今日なんとなしにグ○グル先生で「二次元 実体化」と検索をかけてみた。
すると一番上に、"二次元の女の子達は、貴方に会いたがっています" などという広告が出現。
俺は、またまたご冗談を…と思いつつも、この怪しい広告を勢いよくクリックする。
するとなにやら意味不明なチェックボックスがでてきた。
チェックボックスには、妹 姉 いもうとあね ガチホモ ヤンデレ ツンデレ……などとたくさんのなんかマニアックな項目があり、好みの属性にチェックを入れてくださいとなっていた。
とりあえず俺は、ヤンデレとかツンデレはややこしそうだなーと思いつつ、ベタな "妹" "お兄ちゃん" にチェックを入れ次にを押す。
すると……。

"理想のキャラクターの姿をイメージしてから次にを押してください"

……?
内心え?と思ったものの、別に他にもやることがなかった俺は、好きなキャラクターをイメージして次にを押す。
――その瞬間!!!!
PCのディスプレイが眩く光り俺は意識を失う

「……うぅっ……」

意識が戻ると、時間も意識を失う前からたったの5分程度しか進んでなかった。
PCのディスプレイはというと、特にこれといった変化はなかったが、開いていたはずの先ほどのページが何故か閉じていた。
この日は、もう夜遅かったということもあり、先ほどの広告のことなど考えずに床に就いた。

次の日、会社から帰宅し、いつものようにIEを起動すると、お気に入りに身に覚えのあるサイトのURLが登録されていた。
そのURLは、昨日開いた広告のURL!!
もちろん、このURLをお気に入りに登録した覚えもないわけで……。
とりあえず好奇心にかられた俺はドキドキしながらそのURLをクリック。
――すると!!
画面には昨日俺が、頭に思い浮かべた萌え萌えな女の子が、俺のほうに手を振っているではないか!!

「んなばかな!!!!」

俺は思わず叫んでしまった。いや叫ばずに入られなかった。
どうやらその俺が頭に思い描いた彼女は何かを伝えたいようだが、音声なし動画を再生してるような感じで、何を言いたいのかがわからない。
彼女は一生懸命ジェスチャーで俺に何かを伝えたいようだが、何を伝えたいのかわかるはずもない。
こんな一方通行のようなやり取りが続いて30分たったころに異変が起きた。

「あのっ。あのっ。えっとえっと」

そうそれは突然彼女の声が聞こえるようになったのだ!!
これは!!と思い何を思ったのかディスプレイに話しかける俺。
どうみてもはたからみたら頭がおかしいおっさんだがそんなの関係ねぇ!
こんな夢のような展開でディスプレイに話しかけるのに理由などいらなかった。

「名前はなんていうの? 」

とりあえず彼女の名前を聞いてみた。

「えっと。沙理っていいますっ! ってひょっとして私の声聞こえるようになったのですか!?」
「きこえてるよー。俺の声も聞こえてるみたいだね」
「はいっ!! ばっちり聞こえてます!! わー。外界の人と会話できたー!! わーい!!」

どうやら俺の声もばっちり聞こえてるようで!!
それがわかった彼女は、両手をあげ、はしゃぐように喜んでいた。
沙理という名前の内側に住んでいる彼女は、電脳的な存在とは違うようで、外界の世界で言う宇宙人に近い存在らしい。
でも元からそこにいるのではなく、俺からのイメージで生成された存在であるというのだ。
どうりで、俺がイメージした娘に似てるのもそういうわけだ。
ただ、どうしてあのサイトを見ながらイメージした娘がこのように今俺と会話できてるかということについては沙理本人はわからないらしい。
この日はこんな感じで二時間くらい会話したのだろうか。
すっかり深夜まで沙理と会話した俺は、時間がやばい事に気づき沙理に別れの挨拶を言う。

「ごめん。明日も仕事あるから今日は接続切るね」
「えー!お仕事がんばってねお兄ちゃん。えと……えと……その帰ってきたら……」
「ああちゃんと繋ぐよ」
「あ、うんっ!まってるからね♪」

沙理との接続を絶った後俺はPCの電源を落とし床に就いた。

こんな感じで沙理といっしょにネットを循環したりしてすごすことが一ヶ月ほど続いた日だろうか。
俺はだんだん沙理と実際に触れようとすることばかり考えるようになっていた。
だがそのことは、絶対に沙理には言わないようにと心に決めていた。
なぜならこのことを話したら沙理とは二度と会話することが出来なくなってしまう気がしていたからだ。
その想いを沙理に隠し、二、三週間たったある日のこと家に帰ると……。
――なぜか電源が入っているPC。
不思議に思いながら画面を見ると、なにやら沙理がディスプレイめがけて蹴ってるではないか。画面を。
何事かと思いながら俺はその様子を見ていると、沙理もそれに気づいたようで、顔を赤らめながら俺のほうを見る。

「あのっ……。みちゃいましたか……?」
「みてはいけなかった?」
「……」

沙理は下を向き黙ってしまった。
が、沙理はぼそぼそと――

「私って変ですよね……。内界の人間なのに外界に出たいなんて……」
「!!!!!!」

俺は驚いた。何にってそりゃぁ沙理も俺と同じことを思っていることに――
――俺は先ほどの沙理の行動を見て、ある一つの可能性を見出した。
それは沙理が画面を蹴っているとき、画面が波を打つように揺れていたからだ。
沙理に話しかける。

「沙理!! もう一度画面を蹴ってみるんだ!! 全力で!!」
「え?」
「いいから!!」
「うんっ!」

沙理が画面のほうに向かって蹴ると、先ほどのように画面が揺れる。
そこにすかさず勇気を持って手を突っ込むと、沙理の手をつかむことに成功した!
そのまま一気に俺は手を引く。
するとそれと同時に彼女の体が、ディスプレイからでてくるではないか!
完全に彼女の体がディスプレイから出ると同時俺は床に倒れこみ、彼女に言った。

「お前でてくるところ貞子みたいだったぞ」
「もう!! もっとほかに言うことがあるでしょ?」
「やっと……触れることができたな」
「そうだねっ♪」

俺と沙理は抱き合いながら、その喜びをしばらく味わった。